世界の原子力発電推進に打撃、ウラン需要抑制の可能性


福島第1原発が炉心溶融に至ったとみられることを受け、世界的に原子力発電業界は打撃を受け、新たな発電所建設や燃料となるウラン需要を抑制する可能性がある。
 世界最大の原発事故である1986年のチェルノブイリ事故の際は、原子力発電所建設関連の米ゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N: 株価,企業情報レポート)、日立(6501.T: 株価,ニュースレポート)、仏アレバ(CEPFi.PA: 株価企業情報レポート)株が急落した。今回も、土居用ウラン産出のカナダのカメコ(CCO.TO: 株価企業情報レポート)やウラニウム・ワン(UUU.TO: 株価企業情報レポート)などの関連株が下落する可能性がある。
 原子力発電での需要増観測から、ウラン価格はスポット市場で昨年7月以降、50%上昇していた。
 14日のオーストラリア市場では、英豪系資源大手リオ・ティント(RIO.L: 株価企業情報レポート)子会社のエナジー・リソーシズ・オブ・オーストラリア(ERA.AX: 株価企業情報レポート)(RIO.L: 株価企業情報レポート)、パラディン・エナジー(PDN.AX: 株価企業情報レポート)などウラン関連株が下落している。 
 原子炉104基を有する米国では、上院国土安全保障委員会のリーバーマン委員長が13日、日本の原発事故の影響を見極めるまで新たな原子力発電所の建設を中止すべきとの見解を示した。アナリストによると、米国では4―8基の原子炉を建設中。
 1979年の米スリーマイル島事故の際に原子力規制委員会の委員を務めたピーター・ブラッドフォード氏は、原子力発電の推進にブレーキがかかるのは必至とし、「心理的な悪いイメージは簡単には消えない」と述べた。
 一方、原子力を推進している米核エネルギー研究所の広報担当者は「現在の日本の状況から結論を導くのは時期尚早だ。まだ公共にとって危険なほどの放射能排出には至っていない」と述べた。 
 二酸化炭素排出削減の世界的な動きから原子力発電が拡大する見通しとなり、GEは07年に日立と合弁を統合した。GE事業のうち原子力事業が占める割合はわずかだが、株価への影響は免れないとみられている。

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