中国、原発の新規計画一時停止 国民に不安広がる


福島第一原発の事故を受け、中国政府は新たな原発の建設計画の審査と承認を一時的に停止する。16日に開いた温家宝(ウェン・チアパオ)首相が主宰する国務院(内閣に相当)常務会議で決めた。中国政府は東日本大震災後も自国の原発の安全性を強調、大増設の計画を継続する方針だったが、国民の間に広がる不安に対応を迫られた模様だ。
 会議では「原発は安全を第一に考える必要がある」「新たに建設する原発の審査を厳しくする」ことで一致。稼働中の全原発に対し緊急安全検査を実施することを決めた。
 また、現在策定中の原子力安全計画が承認されるまでは「新たな原発計画の審査・承認を一時中止する」とした。建設中の原発も「最先端の技術水準に達しなければ、建設を停止する」方針だ。
 中国では13基の原発が稼働し、25基余りを建設している。建設中のものを含め2020年までに約60基を増設する方向で、当局や電力会社は計画を進めていた。日本での事故後も「原発を発展させる決意と計画は変わらない」(環境保護省次官)「中国の原発は福島より新しい」(電力会社首脳)などと強調、計画の継続を訴えていた。
 中国の経済成長を支える資源政策に関しては、原発を含めて当局が反対意見を厳しく封じ込めてきた。だが、今回の事故を受け、国民の間に原発への不安が急速に広がり、反対意見も表面化している。
 インターネット上には「日本の先進的な技術でも事故が起きた。中国の技術がどうしてより優れていると信用できるのか」(湖北省の建設予定地住民)などの声が出始めた。人民日報系の国際情報紙環球時報も「中国の原発は国民世論の監督が必要」と社説を掲載した。中国政府として、反原発の機運が反体制運動につながらないようブレーキをかける必要があるとの判断があるとみられる。

コメント

人気の投稿