オバマ政権のエネルギー政策、日本の原発被災で見直し求める声


 東日本大震災で被災した福島県の東京電力(9501.T: 株価,ニュースレポート)原子力発電所の状況を受け、米議員や環境団体からオバマ政権にエネルギー政策の見直しを求める声があがっている。
 オバマ大統領は、国内のエネルギー需要に対応する狙いで、化石燃料への依存を減らし、原子力発電を推進する方針を打ち出している。
 しかし、今回の事態を受け、米政府内では、エネルギー政策を見直す動きがでている。
 上院国土安全保障・政府活動委員会のリーバーマン委員長(無所属)は、CBSの番組で「原発の建設取り止めは望んでいない」としたうえで「しかし、日本の地震・津波被害の状況を把握するまで、静かに素早くブレーキをかける必要があると思う。その後、さらなる情報を検討したうえで、建設続行を求めることが可能だと考える」と述べた。
 1979年のスリーマイル島原発事故以来、米国民の間では原発の安全性に対する懸念が強い。
 原子力関連産業の団体、米国原子力エネルギー協会(NEI)によると、現在、向こう15─20年間に建設予定の原子炉20基の営業免許申請を当局が審査中。
 NEIの広報担当者は、4─8基が新たに2016─20年の間に稼働開始する予定としたうえで「かなり抑制したペース」と指摘。「現段階で、日本の惨事を米国の計画に関連付けて結論を引き出すのは早計」との見解を示した。
 ホワイトハウスは、核の安全について教訓を得るため、日本の状況を注視している、としたものの、差し迫った政策の変更はないことを示唆した。
 ホワイトハウスの報道官は「日本の状況に関する情報は、いまも入り続けているが、政権はそれから教訓を得て、原子力エネルギーの安全かつ責任ある生産を確実とすることにコミットしている」としたうえで「大統領は、わが国のエネルギー需要を満たすことは、風力や太陽光といった再生可能エネルギー、天然ガス、原子力などさまざまなエネルギー源に依存することだと信じている」と述べた。
 環境保護団体「Friends of the Earth」の幹部は、「ずっと払拭されないでいる原子炉の安全性に関するリスク、それによる放射能汚染を踏まえると、オバマ大統領の原発促進策はいまや、疑問を持たざるを得ないアプローチだ」と指摘した。

コメント

人気の投稿