もんじゅ全点検結果を再確認へ 所長が原子力規制庁に説明

高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の機器の点検漏れ問題に関し、日本原子力研究開発機構の斎藤伸三副理事長(もんじゅ所長)は5日、原子力規制庁を訪れ、保守管理の改善に向けた取り組みを報告した。3月の保安検査の指摘を踏まえ、保全計画の見直しの中で新たに、全機器約4万7500点の点検結果の書類を再確認する作業を始めたと説明した。

 原子力規制委員会は5月14日、保安検査で見つかった一部機器の点検方法の不備など保守管理に関する不適切な処理について、保安規定違反と判断。保守管理体制の再構築は「まだ途上」とした。

 全機器の再確認作業では、他の機器で点検方法の不備などがないか調べて、不備があれば再点検する。結果は保全計画に反映させる。

 保守管理体制や品質保証体制の再構築に向け、これまで所内で統一されてなかった機器の「点検要領書」を標準化し、品質保証の担当者を各課に配置することも報告した。

 一方、組織改編や対策を含めた保安規定の変更は、規制委から「根本原因分析の深掘りが足りない」と指摘され、見直している最中。4月に予定していた改革計画に基づく組織改編は遅れており、原子力機構は改編だけの保安規定の変更を早期に申請する方針を示した。

 斎藤所長は、規制庁の大村哲臣審議官との面談で「原因の分析と対策が有効かどうか、現場でのフォローが足りなかった」と反省を口にした。大村審議官は「組織改編はメリットもデメリットもあり、どう扱うかは課題」と述べた。

 規制委から受けた運転再開準備を禁止する命令の解除に向けては、保全計画の見直しや保安規定の変更認可などが必要。報告書ではこれらの“宿題”について、9月末と設定している集中改革期間内に提出する方針を示したが、斎藤所長は記者団の取材に対し「規制庁との話でまとまっていくものなので、いつになるかは申し上げられない」と明言を避けた。

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