平和利用のための最初の原子力施設

平和利用のための最初の原子力施設 (1,6)

  60年前、世界初の原子力発電所が稼働した。1954年6月26日、モスクワから南西40kmに位置するオブニンスク原子力発電所の原子炉が運転を開始した。なぜソ連が世界の原子力エネルギー生産体制の先陣を切ることになったのだろうか。

  原子力エネルギーの利用という考えは既に20世紀初頭から存在していた。放射能の発見から程なくして、科学者たちは原子核の中に非常に強力なエネルギーが秘められていることを知った。ロシア、ヨーロッパそしてアメリカの科学者らは新たなエネルギー源の発見は人類の生活を変え、文明の「黄金時代」が訪れると考えた。しかし、原子力エネルギー生産体制もまたその発展を第二次世界大戦によって阻まれたと国際原子核生成センター所長のビクトル・ムロゴフ氏は語る。
   「アインシュタインを筆頭にした西洋の科学者らはアメリカ合衆国の大統領であったルーズベルトに対して原子力兵器開発の緊急性を訴えた。ナチスドイツで既にそうした開発が着手されていたからだ。こうして原子力エネルギーの軍事利用が驚異的な発展を始めることとなった。プルトニウムの製造や原子力潜水艦のための原子炉が作り出された。」
   第二次世界大戦末の原子力兵器の出現によって原子力エネルギー生産体制の発展の方向が変わった。世界初の民用原子力発電所であるオブニンスク原子力発電所にも電力の生産以外に特別な軍事的役割が与えられた。潜水艦の原子力エネルギー設備を操作する者のための訓練施設の役目を担うことになったのだ。しかし、核戦争の脅威が弱まりオブニンスク原子力発電所の利用法も変わった。クルチャトフ名称研究所の所長顧問を務めるアンドレイ・ガガリンスキイ氏は、オブニンスク原子力発電所が科学研究所となりロシアの科学分野に多大な貢献をしたことに注目する。
   「長期間の運転を可能にするために原子核燃料の安定性の問題や、原子力エネルギーが熱エネルギーに変換される回路の安全性の問題を解決する必要があった。これら全ては異なる時期にテストされ後にそれぞれの設計に生かされた。オブニンスク原子力発電所が始動された後に建設された原子炉はそれに似たものとなった。そしてより現代的な原子炉が出現し始め、最初の発電所で仕上げられたアイディアがあらゆる方向に向けて「発芽」した。オブニンスク原子力発電所は原子力エネルギー生産体制の様々な基礎作りに大きく貢献したのだ。」
   48年に渡ってオブニンスク原子力発電所は科学やエネルギー経済のために使用され、2002年4月29日に原子炉の運転が停止された。発電所は現在、ロシアの原子力博物館となっている。かつては公式の代表団だけが敷地内に入ることを許されたが、今では誰もが原子力の平和利用のために世界で最初に建てられたその施設を見学することができる。
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