原子力規制委 田中新委員「独立性重要


原子力規制委員会の新しい委員への就任が決まった東京大学大学院の田中知教授が記者団の取材に応じ、原子力業界との関係が深く、委員としての中立性が問題視されていることについて、「原子力の研究に関与してきたことは事実だが、独立性が重要であることは認識している」と述べ、独立性を保ちながら職務に当たる考えを示しました。
原子力規制委員会の委員5人のうち2人の任期がことし9月に切れるのに伴い、東京大学大学院教授の田中知氏と、東北大学東北アジア研究センター教授の石渡明氏を起用する人事案が11日、国会で同意されました。
このうち田中氏は13日午前、原子力規制庁で記者団の取材に応じ、原子力業界との関係が深く、委員としての中立性が問題視されていることについて、「原子力の教育や研究に関与してきたことは事実だが、経験を最大限に生かしてしっかりやりたい。独立性が重要であることは認識している」と述べ、独立性を保ちながら職務に当たる考えを示しました。
福島第一原発の事故については「人と環境に大きな影響を与えたあってはならない事故で、原因の追究を踏まえ、規制に生かしていきたい。人知の限界があることやリスクはゼロにはならないという前提に立ったうえで、何が重要かを判断していきたい」と述べました。
田中氏はおととし6月までの2年間、電力会社などが設立した「日本原子力産業協会」の非常勤の理事を務めていたことついて、委員としての欠格要件を定めた民主党政権時代のガイドラインに抵触すると指摘されました。
これについて石原環境大臣や原子力規制庁の森本次長は今月6日の国会質疑で、今回の人選に、当時のガイドラインを適用していないとしたうえで、無報酬のため、当時のガイドラインを適用したとしても、問題はないという考えを示していました。

石渡新委員「データに基づき判断」

同じく原子力規制委員会の新しい委員への就任が決まった東北大学東北アジア研究センター教授で地質学が専門の石渡明氏は、原発の敷地内の断層が将来動く可能性をどのような姿勢で調査していくかを問われ、「自分が専門とする地質学の知識や経験が断層調査には役立つと考え、委員を引き受けた。今と同様、データに基づいて科学的に判断したい」と述べました。
また、原発の安全審査で重要視される地震や津波の想定に関しては専門外ではないかという質問に対しては、「専門から外れる領域はいろいろあるので、外部の専門家の意見をよく聞いたうえで判断するよう努めたい」と述べました。
そのうえで、「できるだけ安全側に判断していくのは当然だが、今後、国際的な基準をよく把握したうえで判断していきたい」と述べ、慎重に審査に臨む考えを示しました。

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