原子力機構、事故後も3人受注企業へ


高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を運営する独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構、本部・茨城県東海村)がOBの再就職する企業・団体に多額の業務を発注していた問題で、昨年3月の東京電力福島第1原発事故の後も、原子力機構の元幹部3人が受注企業に役員として再就職していた。当時は、経済産業省の元幹部による電力会社への天下りに世論の批判が集中していた。「原発ムラ」をめぐる利権が問題化していたにもかかわらず、機構からファミリー企業への人の流れは続いていた。
 本紙が入手した内部資料によると、3人の再就職先は、核燃料再処理施設の保守管理を手がけるアセンド(東海村)。福島原発事故後の4~5月にそれぞれ顧問に就任し、6月23日付で社長と取締役になっていた。同社は4月以降の8カ月間で、機構から32億円の業務を受注していた。
 取締役は昨年3月まで機構の契約部長だった武藤元久氏ら2人。社長の菅原悟氏は機構を退職した4年前、別のファミリー企業のNESI(同県ひたちなか市)の役員に転じ、アセンドには2度目の再就職となる「わたり」だった。
 アセンドはもともとオーナー企業だったが、2003年から機構OBを社長に迎え、菅原氏で3代目。アセンドの皆川勝業務統括部長は「生え抜きが育っていない。核燃料再処理の業務を受注するには機構全体を見渡せる人材が欠かせない」と説明。菅原社長は「即戦力として就任を依頼された。OBとして機構に働きかけることは一切ない」と話す。
 原子力機構広報部は「再就職のあっせんを禁止した機構の内規に違反しておらず、問題ない」とコメント。原子力機構は人件費など運営費の大半は国の交付金で、税金が使われている。所管する文部科学省は「福島事故後も機構の再就職や人事に特別な指導はしていない」と話している。

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