深刻な学生離れ 原子力業界が就職説明会

大学生などの就職活動が本格化するなか、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、深刻な学生離れに直面している原子力関連の業界団体が、東京で就職説明会を開きました。
東京・江東区で開かれた説明会には、電力会社や原子炉メーカーなど22の企業と団体が参加して、来年春に卒業予定の大学3年生や大学院生などが集まりました。
説明会は毎年度、東京と大阪で開かれていて、主催者によりますと、今年度の参加者は12日の東京と先月の大阪を合わせて420人と、原発事故前のおよそ5分の1に当たる388人にとどまった昨年度よりやや増えたものの、依然として学生離れは深刻な状態だということです。
こうしたなか、各地の大学に出向いて説明会を開くなど、人材の確保に一層力を入れている企業もあるということです。
説明会に参加した放射線機器を販売している商社の採用担当者は「原子力を学ぶ学生自体が減っているなかで、人材の確保は厳しいが、業務を続けていくために一定の数の人材を確実に確保していきたい」と話していました。
説明会を主催した日本原子力産業協会の服部拓也理事長は「原子力政策の方向性にかかわらず、人材の確保は必要で、優秀な人材を集めるためには原子力業界が学生に将来の展望を発信していけるかが課題だ」と話していました。

復興に貢献したい

原子力関連の業界団体が東京で開いた就職説明会に参加した学生からは、東京電力福島第一原発の廃炉作業などに関わって復興に貢献したいという声も聞かれました。
このうち、東京の大学院で原子力工学を専攻している23歳の男性は「原子炉などを作るプラントメーカーに就職して、福島第一原発の廃炉作業や原子力の安全性を支える設備の開発に携わりたい」と話していました。
福島県いわき市の出身で東京の大学院で放射線の研究をしている23歳の男性は「原発事故のときに何もできなかったという無力感を感じました。原子力の道に進むことに親は反対していますが、東京電力福島第一原発の廃炉に関わる仕事に就いてふるさとの復興に貢献したい」と話していました。
福島県南相馬市の出身で東京の大学院で放射性物質の除去に関する研究をしている23歳の女性は「原発事故にショックを受けて、大学院から原子力の研究を始めました。除染に関する企業に就職して福島の復興を支援したい」と話していました。

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