露原発輸出、日本と火花 国営企業ロスアトム 福島事故後、60基計画

ロシアの原発事業を担う国営企業ロスアトムが、2011年の東京電力福島第1原発の事故後、20基の原発建設で中国やインドなどと契約を締結、さらに40基の受注に向け、各国と交渉を進めていることが分かった。プーチン大統領が首脳会談などの機会を利用してロシア製原発を売り込むなどトップセールスを展開、1基あたり数千億円にもなるプラント受注を合意に導いている。

 交渉中のものも含め、合計60基にものぼるロシア製原発の輸出計画は、ロスアトムのキリエンコ総裁が9日、プーチン大統領に企業の定期報告を行った際に明らかにした。

 キリエンコ氏は福島第1原発事故の後、ロスアトムの原発建設の海外受注数が事故前の2倍に伸びたことを指摘。アジアや中東などの新興国で順調にロシア製原発の売り込みが成功していることを強調し、「交渉中の40基のうち少なくとも半分は合意に達するだろう」と、強気の見通しを明らかにした。

 さらに、福島の事故後、原発新設の歩みが滞っていた欧州方面でも交渉が再スタートしており、インタファクス通信によると、ロスアトムは昨年末、フィンランドの事業会社と北部ハンヒキビ原発1号機の建設で合意に達した。同原発をめぐっては、東芝も入札に参加していた。

 国際原子力機関(IAEA)は12年に発表した報告書で、福島の事故の影響を受けながらも、新興国を中心に原発需要は増えると予測しており、プーチン政権は国家戦略として、原発輸出を推進している。

 東芝や日立製作所などの原発メーカーも、日本国内での原発の新設が見込めない中、海外市場に活路を求めている。

 東芝は、原発増設にかじを切った英国の市場を狙い、日立に続いて現地の原発事業会社の買収に乗り出している。一方、三菱重工は安倍晋三首相によるトップセールスが功を奏し、トルコと計4基の原発建設で合意した。

 来日したトルコのエルドアン首相は7日、原発建設で日本との関係が拡大すると演説したが、ロシアは日本に先駆けて、トルコ初の原発を受注した実績があり、今後も攻勢をかける。ヨルダンでは、同国初の原発建設で日本などを抑えてロシアが優先交渉権を得ており、各国で日本勢の手ごわいライバルとなっている

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