安全の重要性、福島で痛感=米原子力規制委のカスト氏

「日々焦点を置いているのは、ここでは原発事故を起こさせないということ」。昨年3月11日の東日本大震災発生直後、米原子力規制委員会(NRC)の代表として日本に派遣され、今年5月にNRCの米中西部責任者に就任したチャールズ・カスト氏(56)は、日本駐在中に東京電力福島第1原発に6度足を運んだ経験を踏まえ、安全の重要性を痛感している。
 昨年3月14日、NRCのヤツコ委員長(当時)から電話を受け、東京行きを突然命じられた。光栄な任務と感じながら、慌てて荷物をまとめ飛行機に搭乗した。
 NRCの文字が記された服を着て座席に身を落ち着けたところ、「(日本に飛べば)健康にどう影響するのか」。原発事故で不安に駆られた客室乗務員が代わる代わるやって来て質問攻めに。「一睡もできず、資料にもほとんど目を通せなかった」と苦笑しつつも、人々の恐怖心を肌で感じた瞬間でもあったという。
 日本の原子力規制委員会設置決定について「監督体制の透明性、独立性、効率性を高めるため、良い取り組みだ」と評価する。原子力の賛否に関する自身の立場は中立とした上で、「国が原子力を採用したいのであれば、われわれの仕事は安全を確保することだ」と力説した後、「(中立というよりも)安全推進派だね」と笑顔を見せた。
 17歳で米空軍入り。軍で核兵器に携わったのを契機に、原発業界を経てNRCに転職、在職期間は27年に及ぶ。「当初日本滞在は数日、恐らく数週間で終わると思っていた」。だが結局駐在期間は今年2月までの11カ月に達し、今では日本に「第2の故郷」と呼べるほどの愛着を感じている。

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