原子力災害復興を支援 徳島大学、福島で除染法指導

福島第1原発事故を受け、徳島大学が「原子力災害復興における住民支援プロジェクト」を立ち上げ、福島県で支援活動を続けている。同大大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部の中山信太郎教授(原子物理学)を中心に、放射能の汚染調査や地域住民への除染法指導を実施。近く福島大学とも提携し、被災地復興に全力を挙げる方針。24日にはこれまでの活動成果について徳島市で報告会を開く。

 プロジェクトのサブタイトルは「ふくしま、とくしま 共に歩もう」。東日本大震災後の昨年3月22日から福島県内で独自に汚染状況を調べていた中山教授が「原発問題はいつ起こるか分からない。他人事ではない」と大学を挙げた支援を提案。大学側も承認し、2011年度予算として568万円を組んで昨年11月から本格的に活動を始めた。

 中山教授ら9人で構成するチームはまず、約30人(15戸)が暮らす福島県伊達市霊山町小国地区を調査地に選定。40カ所に携帯用の放射線量測定器を設置し、2週間に1回のペースで現地入りして空間線量の変化を継続的に測定している。また住民とともに民家や田畑を除染したり、住民が自主的に線量測定や除染ができるようノウハウを指導したりしている。

 同地区は計画的避難区域に指定されている福島県飯舘村から北西に約15キロ離れた山間部。局地的に線量が高い場所が多くあるが、行政や大学による調査がなく、住民に十分情報が届いていなかった。

 今年1月には同県白河市まで活動範囲を拡大し、線量測定などの支援に取り組んでいる。同市の依頼を受けて、市内の中学校で放射線に関する教育も開始。ほかにも福島県災害対策本部が郡山市や白河市などで住民対象に開いている講習会で講師を務め、除染方法や放射線の基礎知識などを指導している。

 24日の発表会はあわぎんホールで午前9時半から。中山教授が支援プログラムについて講演するほか、各担当者が放射線量の簡易測定法や除染など活動内容を報告する。白河市の鈴木和夫市長も出席し「原子力災害復興に向けての歩みと今後の課題」と題して講演する。

 中山教授は「素晴らしい環境の福島を早く復活させたい。われわれ世代の問題を次世代に残してはならない」と話している。

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