東日本大震災1年 発電量 火力8割超、リスク拡大

 ■原発、再稼働進まず5%割れ

 東日本大震災によって、発電量に占める電源構成は大きく変化した。福島第1原発事故後、定期検査に入った原発の再稼働が進まず、原発の割合は従来の30%前後から直近では5%を割った。代わって火力の比率は大きく上昇し、8割超に達している。

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 国内電力会社は昭和48年の第1次オイルショック以降、約40年にわたって電源構成の見直しを進めてきた。“脱石油依存”の主軸となったのが原発だ。

 発電量に占める原発のウエートは、昭和48年度に2・6%しかなかったが、徐々に上昇。発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない原発は温暖化対策としても有効とされ、国内では3分の1超の電気が原発で発電されるまでになった。さらに液化天然ガス(LNG)、石炭など多様な電源をバランスよく組み合わせるように発電所の建設が進められてきた。

 だが、福島第1原発事故で状況は一変。定期検査に入った原発の再稼働は進まず、国内54基の原発のうち、現在の稼働原発は東京電力柏崎刈羽原発6号機と北海道電力泊原発3号機のわずか2基。原発による発電量は、今年1月には4・3%にまで低下した。再稼働できなければ5月には全原発が停止する。

 原発の落ち込みを埋めているのが火力発電だ。昨年12月には総発電量の86%を占めた。電力会社によるLNGの消費量(平成23年4月~24年1月)は前年同期比25%増の4295万トンに増加。電力不足を補うため運転を再開した老朽火力で使われることが多い重原油にいたっては93%増の1741万キロリットルとほぼ倍増した。

 火力発電の拡大は、年間最大3兆円とされる燃料費の増加に加え、産油国の状況や原油価格の影響を受けやすくなったことを意味する。イランが原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖に動けば、原油が高騰することは確実。火力発電への過度な依存は、エネルギー安全保障上も大きな問題となる。

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