原発 欧州では全廃方針相次ぐ


東京電力福島第一原子力発電所の事故は、ヨーロッパの国々が将来的に原発を全廃する方針を打ち出すなど、世界各国の原子力政策に大きな影響を与えました。
このうち、高い技術力を持つ日本で起きた原発事故を重く見たドイツは、去年6月、2022年までに国内17基の原発すべてを廃止することを決めました。
すでに古い原発など8基は運転を止めています。
ドイツと同様、国民の間に反原発の意識が高まったスイスも、2034年までに国内5基の原発を、順次、廃止することを決めています。
さらに、イタリアは、チェルノブイリ原発の事故を受け、25年前に決めた脱原発の方針を、国民投票の結果、圧倒的多数で継続する方針を決めたほか、ベルギーも国内7基の原発を段階的に廃止する方針を示しています。
また、著しい経済成長によって急増する電力需要を賄うため、原発の導入を計画していたタイやインドネシア、マレーシアといった東南アジアの国々でも、原発の建設計画を遅らせたり、計画を推進するかどうか慎重に見極めようとする動きが広がっています。
一方で、これ以外の多くの国々は、福島第一原発の事故後も原発の導入を推進する姿勢を崩していません。
このうち世界最大の104基の原発を抱えるアメリカは、オバマ政権が石油への依存からの脱却を実現するとして原発推進の立場を鮮明にしています。
先月には新たな原子炉の建設計画を承認し、1979年にスリーマイル島で起きた原発事故以降、実に34年ぶりに原発の建設が始まる見通しです。
また、アメリカに次ぐ58基の原発を抱え、国内の70%以上の電力を原子力で賄うフランスでも、サルコジ大統領はエネルギーの自給自足や産業の競争力維持の観点から原発推進を堅持する姿勢を示しています。
さらに現在、20基以上の原発を建設している中国や、インドなどの新興国も、急激に伸びるエネルギー需要に対応するためなどとして、今後、原子力発電所の建設を加速させる構えです。

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