「原子力施設の脆弱性克服」問われる実効性 核安保サミットで野田首相表明
ソウルで開催中の第2回「核安全保障サミット」の全体会合で演説した野田佳彦首相は、東京電力福島第1原子力発電所事故を踏まえ、「原子力施設の脆弱(ぜいじゃく)性を克服する」と表明した。これに対し、参加各国の視線は、原子力先進国とみられてきた日本が原発再稼働にどう道筋をつけるのか-に注がれている。ただ、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題をめぐる首相の政治主導は見る影もないのが現状で、何より「実効性」が問われている。
「新設予定の原子力規制庁を中心に据えた態勢を整備する」
原発事故により、テロ攻撃にさらされる危険性も改めて認識させた原子力施設の安全確保に向け、首相は日本国内での取り組みの柱として原子力規制庁の発足を掲げた。「各国の参考に供したい」とも強調したが、大前提となる原子力規制庁は設置法案の審議入りすら見通せていない。
「本来であれば、大飯原発の再稼働の判断基準は原子力規制庁が示すべきだ」(政府高官)と指摘されている。ところが、国民の信頼を失っている内閣府の原子力安全委員会や経済産業省の原子力安全・保安院に安全評価を委ねざるを得ないのが実態で、参加各国は首相の言葉を額面どおりには受け取れないだろう。
首相は具体策にも言及した。原子力施設の安全確保と核テロ防止に共通する対策では、津波で電源を失い大事故を招いたことを教訓に「(原発の)電源装置を増強する」と強調した。
事故対応については「現場での異なる組織間での連携が欠かせない」と指摘し、陸上自衛隊と警察、海上自衛隊と海上保安庁との間で共同実動訓練を実施する考えも明らかにした。
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