「安全文化」 ベトナムは理解 国際原子力開発・武黒氏 受注に自信


ベトナム政府が計画する原子力発電所建設の受注に向け官民出資で設立する「国際原子力開発」の社長に就く、東京電力フェローの武黒一郎氏が24日、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、日本の産業界が培ってきた「安全文化」が強みになるとして受注に自信を示した。主なやりとりは以下の通り。
--8月に直嶋正行前経済産業相、新会社に出資するプラントメーカー、電力会社の首脳らと訪越した。成果は
「ベトナム側に日本政府としての積極姿勢をきっちり示せたこと、民間も一緒になって国際原子力開発を設立することを紹介できたことは良かった」
--フランスや韓国も受注を狙っている
「フランスは、長年多くの原発を運転し技術開発能力も高い。電力会社もメーカーも政府が大株主のため、強力で一体的な取り組みができる。韓国も国を挙げて取り組んでいる」
--日本の強みは
「技術力、安全性、信頼性の高さだ。どんなに良い設備でも運転していると技術的な問題は出てくるもので、日本は長い期間をかけて蓄積した点検、保守のノウハウがある。日本の安全文化がベトナムの役に立てる」
--日本では、原発の稼働率がほかの先進国に比べて低い。競争するうえで不利ではないか「日本の安全基準が厳格であることが稼働率が低い要因の一つだということは理解してくれている。むしろ私は、日本の技術への期待は非常に高いという印象を持っている」

--核燃料の調達や廃棄物処理については
「原子炉の廃止まで含めると100年を超える長期的なプロジェクト。廃棄物処理などはそれぞれの段階で考えるべきで、初めから詰めすぎると自縄自縛になってしまう
【プロフィル】武黒一郎
たけくろ・いちろう 東大工卒。1969年東京電力、2001年取締役。副社長などを経て10年6月から現職。10月下旬の国際原子力開発設立に伴い社長に就任する。東京都出身。64歳。

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