「原子力ゼロ」基幹送電網にも影響-関電エリア、系統に異変

「原子力ゼロ」状態が続く関西電力の電力系統に、異変が生じている。日本海側に集中立地する原子力が全基停止した代わりに、太平洋側に集中立地する火力発電の出力が大幅に増加。この影響で系統の電気の流れがいびつになり、一部の送電線に電流が集中したり、低需要期に基幹系統の電圧が上昇するなどの問題が出ている。安定供給と電力品質を保つため、関電の系統運用部門では設備増強や運用変更などの応急対策を相次いで実施。原子力ゼロの悪影響が系統側に及ばないよう、苦闘を続けている。
関電では計1千万キロワット規模の原子力発電所が日本海側の福井県に立地する一方、火力発電所は兵庫県や和歌山県などの太平洋側に立地。電力需要の多い大阪府を取り囲むように配置された二重の50万V基幹系統を軸にして、各方面からの電気を関西一円にバランスよく供給する系統構成となっている。
しかし2011年以降の原子力停止により、電源構成は大きく変化した。10年夏季ピーク需要日の電源構成は原子力838万キロワット・火力1680万キロワット(実績値)だったのに対し、14年夏季ピークの想定では原子力ゼロ・火力2049万キロワット(8月見通し)。日本海側からの電気が途絶え、太平洋側からの電気が増えた影響で、「これまで北から南に流れていた電力潮流が逆方向に流れ込む、いびつな状況」(電力流通事業本部)が生じた。

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