米、ベトナムと原子力協定交渉 ウラン濃縮も容認か
米国務省のクローリー次官補は5日の会見で、米国がベトナムとの間で原子力協定締結に向けた交渉に入っていることを明らかにした。同日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、協力協定はベトナム国内でのウラン濃縮を米国が容認する内容だと報じ、核不拡散体制への悪影響を懸念する声も出ていることを伝えている。
協定は、核の平和利用を前提に原発技術や核燃料の供給などを可能にするもの。米国は昨年1月にアラブ首長国連邦(UAE)との間で原子力協定に署名した際には、核爆弾製造に道を開きかねないウラン濃縮は行わないことで合意した。だが同紙は、米政府から説明を受けた連邦議員や核専門家の話として、ベトナムとの交渉ではベトナム国内で核燃料を独自に製造することを容認する条件が含まれていると指摘している。
クローリー氏は会見で、濃縮を自ら放棄したUAEと「同様の決断をするよう各国に促す」とする基本姿勢を強調する一方、濃縮は核の平和利用を認めた核不拡散条約(NPT)上の権利であるとも指摘。「国内での濃縮を選ぶ国があるなら、事前にすべての国際的な保障措置に確実に適合するよう協議していく」とし、「相手国や地域で対応は変わる」とも述べた。
米国は2008年10月、NPT未加盟のインドとの原子力協定に署名し、国内外の批判を浴びた。加盟国との間でも、UAEや協定交渉中のヨルダンなどとベトナムを別扱いすることになりかねず、同紙は「二重基準になる」とする専門家らの批判を紹介。ベトナムと国境を接する中国が反発する可能性も指摘した。
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