原子力規制委設置法案” 衆院で可決



民主・自民・公明の3党の合意を受けて提出された原子力の安全規制を担う新たな組織を設置するための法案は、15日、衆議院本会議で賛成多数で可決され、直ちに参議院で審議入りしました。
原子力の安全規制を担う新たな組織を巡っては、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原子力の利用を推進する経済産業省と、規制側の原子力安全・保安院を切り離し、安全規制を一元的に担う新たな組織を設置するのが主なねらいです。
政府案の取り扱いで与野党の調整が難航していましたが、民主・自民・公明の3党が14日、修正協議で合意し、委員長提案の形で改めて法案が提出されました。
法案には、政府からの独立性が高い「原子力規制委員会」を設置し、その下に実務を担う組織として「原子力規制庁」を設置すること、また新組織に入る職員は原則、全員が出身省庁に戻らないこと、さらに平常時の防災対策を検討するため、全閣僚をメンバーとする「原子力防災会議」を内閣府に設置することが盛り込まれています。
また、福島の事故の教訓を踏まえ、緊急時の内閣総理大臣の指示権が制限され、原子炉の技術的で専門的な判断は原子力規制委員会が行うとしています。
同時に、総理大臣は国民の生命や財産に責任を持つ立場から、委員会が迅速に判断を下さない場合などに限り、指示ができるとしています。
一方、原発の運転を原則として稼働から40年に制限するとした規定については、新たに設置される原子力規制委員会が速やかに見直すとしています。
このため、「40年で廃炉」という原則に見直しの余地が残され、菅内閣以来の“脱原発依存”の政策が骨抜きになるのではないかという指摘も出されています。
法案は、15日午後、衆議院本会議で採決が行われ、民主・自民・公明の3党などの賛成多数で可決されました。
そして、参議院に送られると、直ちに本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りしました。
この中で、野田総理大臣は「1日も早く原子力規制委員会を発足させ、人と環境を放射線から守る規制制度と機動的な防災体制を整え、内外の信頼を取り戻すことが急務だと考えている」と述べました。
法案が今の国会で成立すれば、9月までには「原子力規制委員会」が発足することになります。

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