国の原発広報、事故後25億円 天下り・電力系7割受注

 東京電力福島第一原発事故後の2年間に24億8千万円分の原発の広報事業を国が行い、その7割近い16億3千万円分を受注したのは、経済産業・文部科学両省のOBや電力会社の幹部らが役員として在籍する法人だった。朝日新聞の調べでわかった。


 原発広報の事業費は電気料金をもとにした税金で賄われている。福島事故前と比べると総額は半分程度になったが、事故後も国が原発関係の宣伝をし、担当省庁の官僚OBや電力会社関係者がその利益を得るという構図が続いていた。

 この事業は、経産省の「原子力広聴・広報等事業」や文科省の「原子力教育支援事業」など。

 目的は「放射線の理解促進や原子力政策の情報提供で国民の信頼回復を図る」などとされる。経産省の事業は市民や原発立地地域が対象で、原子力研究者らの講演や放射性廃棄物のワークショップなどを開催。文科省の場合は放射線測定器の貸し出しや教職員への放射線セミナーのほか、新聞・テレビ広告などを行う。

 朝日新聞は両省の発注状況の資料を入手し、受注した法人側へも取材して分析した。それによると、2011、12年度に発注した原発広報事業は、経産省が49件計14億8千万円で、文科省は18件計10億円。民間企業や財団・社団法人など計34の組織が受注した。

 受注した組織の内訳を調べたところ、(1)両省のOBが理事に就任している6法人(2)現在は官僚の天下りはいないが、電力会社の役員や元役員が理事・監事にいる4法人――の計10法人が、事業費の66%にあたる33件計16億3千万円分を受注していた。残りは広告会社などだった。

 10法人の中で、両省OBが常勤役員で在籍し、報酬を公開している日本科学技術振興財団と原子力環境整備促進・資金管理センター、つくば科学万博記念財団の場合、常勤理事の報酬は年間1600万円程度という。

コメント

人気の投稿