焦点:トルコが目指す自前の原子力産業、人材育成が鍵


 トルコ政府は国内2カ所に初めて建設する原子力発電所を海外勢に発注したが、石油・ガス輸入への依存を減らすため、今後10年で自前の原子力産業を育成したい考えだ。
人口7600万人のトルコではエネルギー不足の問題が深刻化。先週には、日本とフランスの企業連合が黒海沿岸のシノプにトルコ国内2カ所目となる原発を建設することが決まった。
建設予定の1カ所目はロシアのロスアトムが手掛け、2019年の稼働開始を目指している。トルコは今後10年で英国を追い抜き、欧州で3番目のエネルギー消費国となる見通し。エネルギーの輸入依存度を引き下げることが課題となっている。
自前の原子力産業育成はそうした戦略の一環。政府は3カ所目の原発を建設するまでに、国内の人材や自国の技術で計画を主導できるような体制を整えることを目指している。
トルコのユルドゥズ・エネルギー天然資源相は3カ所目の原発建設について、資金面では海外勢が参画する可能性はあるものの、エンジニアリングや技術という点で国内勢が占める割合を80─85%とすることを目指していると表明した。
「原子力分野での経験を積むために、3カ所目の原発建設を待っている。国外のパートナーと組むが、3カ所目は建設と運営を委ねるようなものにはならない」と述べ、トルコ自身が原発の運営を手掛ける意向を明確にした。
シノプでは三菱重工(7011.T: 株価ニュースレポート)や伊藤忠商事(8001.T: 株価ニュースレポート)が出力4800メガワットの原発を建設し、仏GDFスエズ(GSZ.PA: 株価企業情報レポート)が運営を担当。仏アレバ(AREVA.PA: 株価企業情報レポート)の合弁会社アトメア製の原子炉が採用される見通し。

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