原子力規制庁審議官が日本原電へ資料漏洩、更迭 敦賀原発断層調査めぐり


原子力規制委員会事務局の原子力規制庁は1日、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の活断層調査をめぐり、公表前に原電側へ評価報告書案を渡したとして、同庁の名雪哲夫審議官(54)を同日付で訓告処分にし更迭、出身官庁の文部科学省に出向させたと発表した。規制委は東京電力福島第1原発事故で規制当局が事業者を監督できなかった反省から独立性と透明性をうたって発足。事業者への便宜が明るみに出るのは組織発足後初めて。
 規制庁と原電の説明によると、原電は昨年12月21日に「評価会合で反論するため事前に報告書案の内容を教えてほしい」と依頼。名雪氏は「委員の了解が必要」といったんは留保。しかし1月22日、執務室を訪問した原電常務ら3人に、同28日に公表される予定の敦賀原発活断層調査の報告書案を渡したという。
 会見した規制庁の森本英香次長は、文書は公開で議論されたものをまとめたものであり、国家公務員法の守秘義務違反にはあたらないとの認識を示した。金銭や物品などの授受はなかったとしている。同23日に本人が申し出て発覚。1人で事業者と面会するのは内規違反という。
 1月28日の評価会合では敦賀原発敷地内の断層を活断層と認定。原電は反論する見解を表明した。
 名雪審議官は旧科学技術庁の原子力局に勤務した経験がある。昨年9月の規制庁発足時から、地震・津波担当として各原発の活断層調査や基準作りに携わっていた。

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