原子力機構 研究炉、初の審査申請

日本原子力研究開発機構(原子力機構)は26日、原子力科学研究所(東海村白方)の研究用原子炉「JRR-3」の運転再開に向け、新規制基準に基づく安全審査を原子力規制委員会に申請した。原子力機構によると、2013年7月の新基準施行後、研究用原子炉の申請は初めて。

旧JRR-3は1962年に建設された初の国産研究炉。85年から90年にかけて大規模な改修工事を行い、現在の最大熱出力は2万キロワット。原子炉で生じる中性子を使い、ビーム実験や材料の照射試験などに利用している。

発電用原子炉に比べて低出力で、炉心の温度も約40度と低いことから、万が一の事故の際も進展は緩やかで環境への影響は少ないとされる。

東日本大震災時は定期検査中で停止していた。建屋や機器が一部損傷したが、原子炉などに被害はなかった。原子力機構は補修工事を2013年11月に終え、申請準備を進めていた。

新基準に適合するために実施する安全対策は、施設周辺5カ所に設置されているモニタリングポストの通信回線を多様化する工事のみ。制御室にデータを送る系統を1系統から2系統に増やす。

地震対策は、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)を大幅に引き上げたが、現状の強度で耐えられるとして、追加の耐震補強工事は予定していない。津波の高さの想定も従来の7メートルから13メートルに引き上げたが、原子炉建屋が海抜19メートルに位置するため、対策工事は行わない。

原子力機構の担当者は「3年以上停止しており、多数の研究者が困っている。できれば来年度に運転再開したい」と話した。

コメント

人気の投稿