上関原発で知事難色、工期遅れ必至 中国電力「推進活動続ける」


中国電力が「最重要課題」とする上関(かみのせき)原子力発電所(山口県上関町)の建設計画に対し、同県の二井関成(にい・せきなり)知事が27日難色を示したことで、予定していた来年6月の建物などの本体着工が不透明になってきた。原発を推進して電力供給の柱とする同社の計画の行方は、国のエネルギー政策に大きく左右させられ始めた。
 中国電は松江市に島根原発1、2号機を保有しているが、発電量に占める原子力の割合は平成21年度の実績で15%と、電力各社平均の29%を大きく下回る。このため、上関町ではそれぞれ出力137.3万キロワットの原発2基の建設を計画。建設中の島根原発3号機を含めて、原子力の比率を最大50%程度まで引き上げることを目指してきた。
 しかし、福島第1原発の事故を受け、地元自治体などが従来の安全対策を疑問視。島根3号機は来年3月の営業運転開始予定を延期せざるを得なくなった。
 中国電の山下隆社長は東日本大震災後の3月下旬、記者会見で「電力の安定供給や地球温暖化防止のためにも(原発は)必要だ」と原発推進を強調。上関町では社員が各世帯を訪問するなど理解を求めてきた。
 それだけに、二井知事が公有水面埋め立て免許の延長拒否方針を表明したことは大きなショックだ。中国電力広報部は「建設計画そのものにまで踏み込んだ発言とは受け止めていない」と冷静さを装いつつも、「工期を見直さざるを得なくなる可能性がある」との見方を示した。
 中国電幹部からは「(上関原発の)推進に向けて活動は続けるが、今は攻めに出るタイミングではない」との声が聞かれるが、太陽光などの自然エネルギーに急速に肩入れし始めた菅直人首相の出方によっては、大幅な工期の遅れなどにつながる可能性もある。

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